W1902EP/ET デジタル・モデム・ライブラリは、SystemVue用のシミュレーション・アドオンで、衛星/軍事/商用無線の通信システムで使用される40種類のデジタル変調方式に対して、送信、受信、ビット・エラー・レート(BER)の解析が行えます。さらに、W1902は、18種類のリニア変調方式のフレーミング、直接シーケンス・スペクトラム拡散(DSSS)、基準レシーバ・デザインをサポートしています。このライブラリは、デザインの生産性を高め、検証に要する労力を軽減し、アルゴリズムから実装、さらに、広帯域テスト機器を使用したハードウェアの検証まで、通信デザイン・サイクル全体にわたるモデル・ベースのデザイン手法を支援します。
航空宇宙アプリケーションに最適な生産性と柔軟性
軍事/衛星通信ネットワークが大容量/低遅延方式にアップグレードされると、多くの通信デザイナは時間を割いて自身のシミュレーション・ブロックセットやツールのメンテナンスを行うため、プロジェクトにオーバヘッド時間が生じます。
- W1902 デジタル・モデム・ライブラリによって、信頼できる一般的な変調方式のCOTSリファレンスを入手でき、オーバヘッドの削減と検証作業の簡素化が可能になります。
- W1902は、テスト機器やRFデザイン・ツールへの接続も容易で、RF/FPGAのコ・デザイン、デジタル・プリディストーション、最新の広帯域テスト機器のサポートに必要な高いレベルのシステム・シミュレーション確度を実現できます。
- SystemVueでは、IPをC++、MATLAB、HDLフォーマットに容易にインポートでき、機密性の高いセキュアな学術研究アプリケーションで要求されるモデリングの細部の追加も可能です。
ライセンスはデザインの再利用と分散協調環境を促進する、EDAで利用しやすい形態です。このライセンスでW1902 デジタル・モデム・ライブラリを使用すれば、対応しているCOTS環境の高い生産性を活用でき、特殊でセキュアなデザイン・チームで要求される柔軟性も確保できます。
SystemVueデジタル・モデム・ライブラリの対象者
システム・レベル・アーキテクト、ベースバンド・アルゴリズム・デザイナ、RFコンポーネント・デザイナは、W1902 デジタル・モデム・ライブラリを使用して、通信システムのアーキテクチャ、コンポーネント、DSPアルゴリズムを研究開発の早い段階に検証できます。W1902は、カスタム・アプリケーションや専用の通信信号リンクに利用できるモデリング・プラットフォームも備えています。
SystemVue環境は、スクリプト化、Keysight ADSなどのRFデザイン・ツールへのリンク、高性能テスト機器への接続も可能で、柔軟性と一貫性を製品のライフサイクル全体を通して提供します。
主なアプリケーション:
- 地上、空中、宇宙空間における衛星通信
- 軍事通信とセキュアなバックホール
- 学術研究
- テスト機器の拡張による特定の変調方式のサポート
- コンポーネントの検証
主な利点
- オープンなモデリング環境における信頼性の高いIPリファレンスと、それによる生産性の向上
- プロジェクトのオーバヘッド、スクリプト化、検証、NREなどの工数の削減
- SystemVueの優れたRF-DSPコ・デザインによる、配備時間の短縮
機能
基準トランスミッタ |
基準レシーバ |
- 18種類の変調方式の変調(注記1)
- オーバサンプリングとフィルタリング(注記1)
- フレーミング(長さ、変調、データはユーザ定義可能)
- ガード・インターバル
- アイドル・インターバル
- プリアンブル
- ペイロード
- 波形およびデータI/O
- シミュレーションまたはファイルI/Oからの入力データ
- I/Q変調波形のシミュレーション、ファイルI/Oまたはテスト機器への出力
- フレーミング、プリアンブルなどの機能用の追加出力
- 直接スペクトラム拡散(DSSS)の拡散(ユーザ定義可能)
- 対応コード
- ユーザは、デジタル・モデム・ソースの外部に、FEC、インタリーブ、C++、MATLAB、HDLブロックを自由に追加できます。
- 障害
- デジタル・モデム・ソースの外部で、広いレンジのRF障害、チャネル・モードを追加/掃引できます。
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- 18種類の変調方式の復調 (注記2、3)
- フィルタリング、同期、リサンプリング (注記2、3)
- 使用可能な補正:
- 搬送周波数オフセット(例:ドップラー)
- IQ位相回転
- IQ不平衡
- AGCリノーマライゼーション
- アダプティブ・イコライゼーション
- リニア・イコライゼーション(LE)とデシジョン・フィードバック(DFE)
- アダプティブ・アルゴリズム(RLS、LMS、RLS/LMS)
- LEとDFEの両方に対応するフラクショナル・スペース・イコライザ(FSE
- MMSE-DFE(高速計算DFE)
- 最尤系列検出器(MLSE)
- DSSS用のRakeコンバイナ
- 相関と差動相関の両方のアルゴリズムを使用したフレーム同期
- PLLを使用した搬送波周波数同期および周波数トラッキング・アルゴリズム
- 波形およびデータI/O
- I/Q変調波形のシミュレーション、ファイルI/Oまたはテスト機器からの入力
- フレーミング・プリアンブルなどの機能用の追加入力
- 出力データ・ビット、コンスタレーション
- 測定と構成済みのテンプレート
- BER対Eb/N0、または、SNRの掃引
- EVM
- システム・レベル検証
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注記:
- 1. 基準トランスミッタ・ソース以外では、全部で40種類の変調方式がサポートされています。また、一部の生の変調機能(ソースのみ)は、SystemVueコア環境に含まれている“DigitalMod”ソースの使用時に利用できます。このフリー・ソースでは、フレーミング、DSSS、復調は行えません。
- 2. W1902は、全部で40種類の復調方式をサポートしています。基準レシーバは、そのうちの18種類をサポートしています。
- 3. 一部のダイナミック・ビジュアリゼーション機能は、Keysight 89600 VSAソフトウェア、オプションAYAの使用時に利用できます。89600 VSAは、フレーミング、DSSS、復調データ出力をサポートしていません。
フレーミング、DSSS、BERの完全なTX/RXリファレンスでサポートされる変調方式
16-QAM 32-QAM 64-QAM 128-QAM 256-QAM 512-QAM 1024-QAM 2048-QAM 4096-QAM |
BPSK QPSK 8-PSK 16-PSK 16-APSK 32-APSK カスタムAPSK Star 16-QAM Star 32-QAM |
サポートされる変調/復調方式
DQPSK pi/4 DQPSK OQPSK SOQPSK-TG SOQPSK-MIL* IJF-OQPSK FQPSK EFQPSK |
CQPSK pi/4-CQPSK D8PSK pi/8 D8PSK MSK GMSK M-ary CPM Multi-h CPM* |
*制限事項があります
図1.W1902 デジタル・モデム・ライブラリは、34種類の主要な変調/復調方式のフレーミングと拡散スペクトラム・ファンクションをサポートしています。通信のデザインで、衛星/軍事無線リンクのBER性能を迅速に解析できます。
図2.この例では、W1902ライブラリで、非線形アンプ、有限なADC分解能、AWGNレシーバ雑音、シンプルなチャネル効果をもつ512 QAM通信リンクを解析しています。同じスクリプトが検証ループのRFテスト機器でも動作するため、現実性が増します。
構成
W1902 デジタル・モデム・ライブラリは、すべてのW146xシリーズ SystemVue環境またはバンドルにオプションとして追加できます。
SystemVueを、AWG、デジタイザ、RF信号源、RFアナライザなどのKeysightテスト機器に接続するには、通常、他のKeysightソフトウェア(Keysight IOライブラリ、Command Expert、89600 VSAソフトウェアなど)が必要です。
詳細な情報
ライブラリおよび関連のトレーニング/コンサルティング・サービスについては、計測お客様窓口に直接お問い合わせください。
SystemVueのすべての構成を見るには下のリンク先を参照してください。