ダイ上の温度変化はチップ内の電力損失が原因です。高性能、高電流、高電圧のチップの場合、パワー密度が高い領域があり、そのために温度が大きくバラつきます。以下のビデオでは、シーケンス動作するいくつかの大型トランジスタが含まれるチップの温度プロファイルを説明しています。

 

温度変動は空間的にも時間的にも発生します。ホットスポットは移動します。熱は分散し、周囲の領域を温めます。

ミックスド・シグナル/RF ICデザイナは、回路シミュレーションを実行するためにチップの平均温度を予測する必要があり、ダイのほぼ全体にわたる均一の温度を仮定します。デザイナによっては特定のパワー・トランジスタがホットスポットを作ることを知っているため、その近くの領域ではより高温になることを予測します。どの場合も、予測値の不確かさはかなり大きくなります。デザイナは各デバイスの正確な温度が必要です。

IC熱シミュレーション

キーサイトのHeatWave電気-熱シミュレータを使用すれば、これらの予測が不要になり、代わりに各デバイスの正確な温度が提供されるので、熱によって生じる回路の不具合や性能の低下をテープアウト前に明らかにすることができます。

HEATWAVEについて

HeatWaveは、チップ用のIC熱解析シミュレータで、スタック・ダイ型SiPです。デバイスやインターコネクトの空間分解能でチップ全体の温度プロファイルを計算し、そのデータに注釈を付け回路シミュレータに渡すため、正確な温度のシミュレーション結果が得られます。チップ内の熱源や熱伝導路はサブミクロン・スケールの形状なので、こうした形状に合った熱モデリング手法や数値解法を用いる必要があります。シミュレーション結果は、必要な分解能と確度を備えた3次元温度プロファイルとして表示されます。

HeatWave Electro-Thermal Analysis Software

デザイン品質の向上 

HeatWaveを使用すれば、ミックスド・シグナル・デザインのホットスポットや過剰な温度変動が明らかになるので、温度による悪影響を取り除くことができます。また、温度の値や変動を自動的にモニタするコマンドを用いて、デザイン内の熱の危険性を検出することもできます。

チップ品質の向上

HeatWaveを使用すれば、チップ内の温度変化がナノスケールで得られるので、信頼性や摩耗の問題を簡単に検出できます。

スムーズで問題のないデータ・フロー

HeatWaveは、標準的なエレクトロニック・デザイン・オートメーション(EDA)エコシステムに組み込んで使用し、既存のICデザイン・データを活用するように作られています。熱源形状/レイアウト/テクノロジー・ファイル・データ、およびパッケージ・データを入力として読み込みます。アナログ・デザイン・フローとの統合により、デバイス・レベルのCADデータの交換が自動化され、チップ全体の温度をシミュレートすることができます。面倒なデータの準備作業は不要です。

出力には、チップ全体の温度プロファイルが含まれ、グラフィック表示可能な3次元データベースとして提供されます。また、シミュレーション用の温度注釈付きネットリストも含まれています。このため、シミュレータで、回路の性能や信頼性に対する温度の影響を確認することができます。

HeatWave Data Flow

3次元ビジュアリゼーション機能

HeatWaveは、対話形式のグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)モードで実行でき、チップ全体を3次元で検索したり、デバイスやメタル層などのデザイン・オブジェクトの温度を目視で調べることができます。

HeatWaveは、スクリプトから実行することも可能で、結果を他の解析ツールに統合することができます。


自動化、解析規模、分解能

  Ansys Icepak Mentor FloTHERM Apache Sentinel-TI Cadence Encounter Power System System Synopsys Sentaurus Keysight HeatWave
パッケージ熱
シミュレーション
 
粗い 粗い 粗い      
ICチップ全体の
解析
 
     
デバイス・レベルの
分解能
 
細かい       細かい 細かい
デバイス・レベルのCADデータ交換 手動       手動 手動レイアウト、パワー、温度

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