アプリケーションノート
概要
電子回路の動作速度が速くなれば、プリント回路基板のシグナルインテグリティーがシステム性能に与える影響が大きくなります。そこで必要性が増しているのが、PCBのインピーダンス制御です。インピーダンス許容値は、±10%から±5%未満へといっそう厳しくなっているため、確度/相関が高いインピーダンス測定が要求されます。PCBのインピーダンス測定には、標準的な補正手法としてオフセット誤差補正が使用されてきました。しかし、PCBの製造に要求される測定確度と相関を実現するのは、ますます困難になっています。その結果、製品歩留まりが低下し、PCBメーカーとエンドユーザーの間で測定のずれが生じます。
このアプリケーションノートでは、PCBのインピーダンス測定におけるオフセット誤差補正の問題点と、TDR機能を備えたKeysight ENAシリーズネットワーク・アナライザを使用した解決法を紹介します。
オフセット誤差補正では測定システムの誤差を除去できないため、今日要求されるインピーダンス許容値に適した測定確度と相関を実現するには不十分です。
オフセット誤差補正が効果的なのはインピーダンスレンジが制限されている場合なので、さまざまなインピーダンス値を測定する場合には補正の準備/作業に手間がかかります。
TDR測定機能を備えたKeysight ENAシリーズネットワーク・アナライザはフル校正を行うことにより、広いインピーダンスレンジで高い確度と相関を実現できます。
オフセット誤差補正の確度
図1は、オフセット誤差補正で測定を行なう測定セットアップです。Keysight 85053Bベリフィケーションキットには、NIST(National Institute of Standards and Technology)にトレーサブルな25Ωおよび50Ωのエアラインが付属しています。これを、Keysight E5063A PCBアナライザで立ち上がり時間を35psに設定して測定します。測定確度の評価は、以下の手順で行います。
50Ωエアラインを測定し、50Ωからのオフセット誤差を取得します
25Ωエアラインを測定し、測定結果にオフセット誤差補正を行い、25Ωから得られる測定確度を記録します
別のテストケーブルを接続してステップ1~ステップ2を繰り返し、測定結果を比較します
図2と図3は、2本の異なるテストケーブルを接続して同じ25Ωエアラインを測定した結果です。測定値が異なっているのは、2本の各テストケーブルによって生じる測定誤差が異なるためです。各テストケーブルのオフセット誤差は、25Ωエアラインの測定より前に、同じ50Ωエアラインを用いて測定されています。オフセット誤差補正を適用すれば誤差が補正されるので、どちらのケーブルでも正確な測定が期待されます。表1は、オフセット誤差補正を行った測定結果をまとめたものです。
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