個々の測定にはいくらかの雑音が含まれているので、目的の信号(その高調波成分や変調側波帯など)が覆い隠されてしまう可能性があります。アベレージングは信号処理の1つで、雑音の影響の低減、S/N比(SNR)の向上、目的の信号の詳細な解析が行えます。また、分解能とダイナミック・レンジの向上も実現します。

Keysightの高速デジタイザの多くは、高速サンプリング・レートと広い帯域幅が必要なリアルタイム・アプリケーションに対応するように設計された、オンボード・フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を備えています。FPGAボードにはファームウェアが組み込まれているので、ピーク検出や信号アベレージングなどのリアルタイムでのデータ処理が可能です。信号アベレージングでは、3種類の高度な手法もサポートされています:ノイズ抑圧アキュムレーション、セグメント・アキュムレーション、ピンポン・アキュムレーション。

ノイズ抑圧アキュムレーション
飛行時間分光などのアプリケーションでは、ノイズの大きなベースライン上の発生頻度の少ない現象が信号です。FPGA処理によってランダム雑音が低減し、最終的には、雑音が存在する状態でのデジタイザの信号検出能力が向上します。FPGAボード内のアベレージング・ファームウェアを使用すれば、データ値が合計に入れられる前に超えている必要があるしきい値を設定することができます。

システム全体のデザインを簡素化し、合計データのオーバーフローを回避するために、総和の実行前に、各データ値からノイズのベースを減算することができます。FPGAファームウェアは、立ち下がり信号に対しても同様の機能が実装されています。

セグメント・アキュムレーション
多くの時間分解アプリケーションでは、非常に短い測定間デッド・タイムで複数のアベレージングされた波形を捕捉する必要があります。これは、アベレージング・メモリをセグメント化することによって実現できます。Keysightのデジタイザでは、セグメント長はユーザが設定できます。1~128.000セグメントに合計データを保存できます。デッド・タイムはセグメントのサイズによって異なります。

ピンポン・アキュムレーション
測定速度を向上させるために、FPGAベースのアベレージング・プロセスではピンポン・アキュムレーション/処理が可能です。デッド・タイムの後、FPGA内での各セグメント・アキュムレーションの最後に、直前のアキュムレーションの読み取り前に新しいアキュムレーションを開始できます。アキュムレーションの続行中でも、高速バス経由で直前のセグメントを読み取ることができます。