アプリケーションノート
雑音指数の不確かさを低減する
NFとも呼ばれる雑音指数は、多数のレシーバーやRFシステムにおける主なパフォーマンスパラメーターです。この指数は、信号が被試験デバイス(DUT)を通過することによって生じるSN比(SNR)の劣化度を表します。デジタル通信システムでは、雑音指数の低いレシーバーは振幅の低い信号を検出することが可能で、それがビットエラーレート(BER)のパフォーマンス向上に直接関連します。雑音指数測定は通常、新製品設計や最適化の際に、開発ラボで必要とされます。また、デバイスのパフォーマンスが仕様を満たしており、十分な余裕があることを確認するために、製造ラインでも使用されます。
雑音指数測定の不確かさは、高い歩留まりと低いコストを達成する上で重要な要因です。このアプリケーション概要では、低雑音の増幅器、ミキサー、周波数コンバーターの雑音指数パフォーマンスを測定する際に、測定の不確かさを向上させ、歩留まりを高め、コストを下げるために役立つヒントについて説明します。
ヒント1:迅速な計算のために雑音指数の不確かさ計算機を利用する
不確かさの計算は、複雑で時間のかかる作業です。幸いなことに、このプロセスを容易かつ迅速に行うための計算機を利用できます。
雑音指数の不確かさを計算する際には、通常Yファクター法が使用されます。この方法では、DUTの入力に刺激を与えるために、校正済みのノイズソースを使用します。また、校正済みのレシーバーとしてシグナル・アナライザを使用して、DUTの出力ノイズを測定します。校正済みのノイズソースは、周波数の関数として、DUTのオン状態とオフ状態の間の雑音パワーの特性を評価する過剰雑音比(ENR)で指定されます。
ENRの不確かさは、雑音指数測定の全体的な不確かさにとって重要な寄与因子であり、雑音指数不確かさの計算機に入力する1つの値です。NFの不確かさ計算機に入力する他の値には、不整合、利得のリニアリティ、アナライザの雑音指数があります。
表1は、雑音指数が3dB、利得が26dB、VSWRが1.5の、低雑音の6GHz増幅器を測定する際の、全体的な雑音指数の不確かさに対する個々の寄与因子をいくつか挙げています。表では、選択されたノイズソースのENRの不確かさは±0.087dB、VSWRは1.05でした。この例で、測定の全体的な不確かさに対する2つの主な寄与因子は、ENR不確かさと不整合で、それぞれ順に全体で88%と12%になっています。残りの寄与因子が全体的な不確かさに影響するのは1%未満です。すべてを合計すると、この例の測定の全体的な不確かさは±0.112dBになります。これは、雑音指数が3dBの増幅器では、測定値は2.888dBから3.112dBの範囲になるであろうということを意味します。
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