FieldFoxハンドヘルド・アナライザによるフィールドでの正確な干渉波測定法 | キーサイト

アプリケーションノート

はじめに

マイクロ波システムの運用者は、セルラーシステムやデータリンクからの干渉に頻繁に直面します。無線周波数スペクトラムは貴重なので、無線通信システムは、ある程度の大きさの無線干渉の存在下での動作を要求されることが少なくありません。既存の無線システムの多くは、規制機関からの免許に基づいて、周波数スペクトラムの一部を管理運用しています。免許を取得することで、サービスプロバイダーは、提供するサービスに使用するテクノロジーを決定する権利を得るとともに、他の無線サービスやサービスプロバイダーによる有害な干渉から保護されます。免許に基づく無線システムは、広範囲のRF/マイクロ波のキャリア周波数で動作しています。免許に基づくシステムとしては、LTEセルラー(搬送波周波数は一般的に2GHz未満)、ダイレクト放送衛星(ダウンリンク12GHz、アップリンク17GHz)、ポイントツーポイント・バックホール・システム(23GHzバンド)などがあります。免許されたスペクトラムの限られたバンド内に多数のユーザーを詰め込もうとした場合、システム内で同一チャネル干渉や隣接チャネル干渉が発生することがよくあります。これに対して、免許不要帯域は、オープン・アクセス・リソースの一部とみなされ、スペクトラムの需要が高まると、システム干渉が増加して、すべてのユーザーに対するサービスの品質が低下します。免許不要のシステムの例としては、広く用いられているWi-Fi、Bluetooth®、ZigBeeシステムが挙げられます。これらはすべて2.4GHzバンドで動作します。要免許と免許不要の両方の方式に割り当てられている周波数バンドも多数あります。例えば米国の場合、3.1~3.3GHzのバンドでは、AWACSや合成開口レーダー(SAR)といった航空システムやイージス艦などの船舶用システムを含むさまざまなレーダープラットフォームが動作しています。これに加えて、3.26~3.267GHzのセグメントでは、200MHzバンドの範囲内で免許なしでの利用が許可されています。さらに、公共、商用および非商用のアプリケーションでのスペクトラム需要の拡大に伴い、新しい無線システムの導入の際には、無線干渉がますます大きな問題になると予想されます。例えば、オーバーレイネットワークで動作する「フェムトセル」を展開する次世代セルラーシステムは、マクロセルダウンリンクに対する干渉源となる可能性があります。

もう1つの例として、ダイナミック・スペクトラム・アクセス(DSA)を使用するシステムが挙げられます。この日和見主義的な無線システムは、セカンダリーユーザーとして動作し、プライマリーユーザーが送信を開始するまでの間、空いているスペクトラムを一時的に利用します。セカンダリーユーザーが利用可能なスペクトラムの別の部分に移動するまで、セカンダリーDSAユーザーはプライマリーユーザーへの干渉とみなされることがあります。DSAテクノロジーは、コグニティブ無線(CR)2やホワイトスペース3と呼ばれることもあります。

スペクトラム利用率の向上に伴う高度な測定ツールの必要性

一部の国では、スペクトラム利用率を上げるために、利用者の需要に基づいてスペクトラムの再割り当てを試みています。米国では、最近の政府の決定4により、モバイルおよび固定ブロードバンドアプリケーション向けに500MHzの新しいスペクトラムを開放するための、周波数スペクトラムの再割り当てが行われることになりました。この既存システムの周波数の再割り当ては、1755~1850MHzバンドに始まり5、数年の移行期間にわたって行われる見込みです。このため、再割り当てが完了するまでの間、現行のシステムと新しいシステムの間で干渉が発生する可能性があります。現行のシステムも新しいシステムもスペクトラム利用率の向上を目指す中で、さまざまな無線システムの間の干渉レベルを評価、監視、管理するための高度な測定ツールの必要性はさらに高まっています。このような測定では、システムのレシーバー近くでのフィールドテストが必要な場合があります。そのためには、堅牢かつ軽量で、従来のベンチトップ測定器との間で一貫性のある性能を備えたテスト測定器が必要です。

このアプリケーションノートでは、現行のシステムと新しいシステムの両方で通信事業者が直面するさまざまな種類の干渉について説明するとともに、KeysightFieldFoxN993xAマイクロ波スペクトラム・アナライザやN991xAマイクロ波コンビネーション・アナライザ(ケーブル/アンテナ・アナライザ、スペクトラム・アナライザ、ベクトル・ネットワーク・アナライザの組み合わせ)といった最新の高性能スペクトラム・アナライザを使用して各種の干渉を測定するための効率的な方法を紹介します。

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