高度な電気化学インピーダンス分光法(EIS)によるバッテリーテスト | キーサイト

白書

測定ハードウェア、校正、電気化学データの解釈

本書では、高度なエレクトロケミカル・インピーダンス・スペクトロスコピー(EIS、電気化学インピーダンス分光法)を使用して、高い信頼性でバッテリーセルの電気テストおよび診断検証を実行する方法について説明します。専用のメカニカルフィクスチャと電子校正手法を用いて実施した正確なEIS測定を紹介します。EISの結果を材料科学の観点で回路モデリングと合わせて考察し、セル品質を決定するのに関連する主要な電気化学パラメータを導きます。新たな確度レベルを達成することで、セル、モジュールおよびパックのテスト分野におけるEISの再現性、堅牢性、アプリケーションの向上につながります。

EISの概要

リチウムイオン電池(LIB)はエネルギーとパワー密度が高いため、さまざまなアプリケーションで広く使用されています。バッテリーには急速充電と高効率が求められるため、電池セルの化学的特性と構造の継続的な改善が求められています。特に自動車アプリケーションでは、バッテリーインピーダンス(Z)が非常に低い値まで低下しています。今日、バッテリーインピーダンスは数μΩという低い値の場合があり、対象となる周波数レンジは一般的に1mHzから10数kHzです。LIBの性能が向上し続ける一方で、高性能測定器の需要も同時に高まっています。電気化学インピーダンス分光法(EIS)は、電気化学現象の解明や電池の寄生回路要素の特性評価に有効な手法として確立されています。EISは通常、バッテリー研究開発、インラインセル製造、オフラインでの品質管理のために行われます。EISデータに基づいて、充電状態(SOC)と健康状態(SOH)はモデリング手順を使用して定量的に予測することができます。本書では、広い周波数レンジでμΩまでの低いバッテリーインピーダンスを精密に測定できる新しい校正ワークフローを用いたEISを紹介します。さらに、校正データを使用して、材料科学および分析電気化学の観点を踏まえた等価回路のモデリングや電気化学の解釈について説明します。