RF Architect & Synthesis エレメント は、Genesysの業界で最も高度な通信システム・アーキテクチャ、周波数プラニング、回路/システム・シンセシス機能を、Keysight EEsof EDAの主力製品であるAdvanced Design System(ADS)に実装します。ADSは、高周波/高速アプリケーションのIC、パッケージ、ボードの協調設計が可能な、唯一のデザイン・シミュレーション・プラットフォームです。システム、回路、フル3次元電磁界シミュレーション機能をKeysightのテスト機器にシームレスに統合することにより、再現性の高い回路デザインをファースト・パスで実現します。
ADS RF Architect & Synthesisエレメントは、スタンドアロンGenesysバンドルとしても実行できます。以下を対象とする既存のすべてのツールを上回る3種類の高度な機能セットが含まれています。
- Spectrasys: RFシステム・アーキテクチャの設計/バジェット解析
- WhatIF: RFシステムの周波数プラニング
- Synthesis: 11種類のクラスの回路/システム・コンポーネントのシンセシス
Spectrasysは、各ノードのフルスペクトラムを予測する革新的なスペクトラム・ドメイン・システム・シミュレーション・テクノロジーを採用したRFシステム・アーキテクチャ・デザイン・ツールで、任意のノードの各相互変調成分の伝搬経路や発生原因を解析できます。システム・アーキテクトは、システム・チェーン内のすべてのスペクトル成分の原因を完全に把握した上でバジェット解析を対話形式で行うことができるので、各システム・ブロックの仕様を詳細なガイドに従って調整して、目的のシステム・バジェット(利得、ノイズ、相互変調)を達成できます。任意のノードの各スペクトル成分の原因解析に基づいたシステム・アーキテクチャの設計はこれまでは不可能でしたが、システム・アーキテクチャの検討が不十分なために下流部門において遅延やコストのかかるリワークが発生するリスクをなくすことができるようになりました。
Spectrasysの機能:
- スペクトラム・ドメイン・システム・シミュレーション機能と根本原因解析機能を備えているので、各ノードのフルスペクトラムを形成する変調成分の伝搬経路や原因を調べることができます。時間のかかる詳細なブロックの設計やコストのかかるハードウェアに全力投球する前に、アーキテクチャの選択の誤りを特定/診断することができます。
- 100種類を超える定義済みのシステム測定やシステム・ビヘイビア・モデルが用意されているので、スプレッドシートや自作のコードの代わりに使用して、システム・アーキテクチャを設計/最適化することができます。
- ADSとの統合により、最適化されたRFシステム・アーキテクチャやブロックの仕様をW2361 Ptolemyエレメントに転送して、詳細なRF/アナログ回路を設計したり、DSPアルゴリズムを開発できます。
WhatIFは、最も優れた最高速の周波数プラニング・ツールで、RFシステム・アーキテクトは、最小限のフィルタリングでスプリアス干渉が発生しない中間周波数(IF)を選択することができます。また、手動による組み合わせや変調成分の解析による周波数/振幅の決定に数週間かかっていたのを、対話形式での非常に詳細なグラフィック解析によって数時間に短縮できます。組み合わせの数が多いために手動での探索が不完全で最適とは言えないものになるリスクがなくなります。
WhatIFの機能:
- 徹底的なシンセシス探索により、ミキサの特性、RF周波数バンド/帯域幅、目的のIF帯域幅に基づいて、あらゆる変調成分から、与えられた周波数レンジ内のすべてのスプリアスを解析できます。
- IFパワーに対するスプリアスの独自の表示。マウス・カーソル/マーカを配置することによって、変調成分の発生源や次数を識別できます。
- スプリアスのない周波数バンドの自動識別。
- 簡単なセットアップ。ミキサの特性またはスプリアス・テーブル、RF周波数と帯域幅、目的のIF帯域幅を入力するだけです。
- 自動探索によって最適な結果が得られるので、数週間かかっていた手動での周波数プラニングを数時間に短縮できます。
ADSでの回路/システム・コンポーネントのSynthesisは、業界で最も完全です。参照用トポロジーや設計式を調べるのに数日かかっていましたが、目的の仕様を入力し、シンセシスするトポロジーを選択するだけで済むようになりました。初心者はこれまで設計できなかったトポロジーを選択でき、熟練者は回路/システム・コンポーネントの自動シンセシスによって数日の時間短縮を実現できます。
Synthesisの機能:
- Filter:100種類以上のトポロジーによる、RFアプリケーション用の従来の集中定数フィルタ・シンセシス
- M/Filter:60種類以上のトポロジーによる、マイクロ波アプリケーション用の分布定数フィルタ・シンセシス
- S/Filter:カスタム周波数応答波形用の高度な集中定数LC/分布定数フィルタ・シンセシス。200種類以上の集中定数/分布定数トポロジー変換が付属
- A/Filter:30種類以上のアクティブ・トポロジーによる、アクティブ・オペアンプ・フィルタ・シンセシス。ベースバンド周波数/制御アプリケーションに対応
- Equalize:リニア位相歪みを補正するための遅延イコライゼーション・シンセシス
- Match:集中定数/分布定数コンポーネントと周波数依存負荷を用いた、狭周波数帯域と広周波帯域でのインピーダンス整合シンセシス
- Oscillator:19種類のトポロジーによる、発振器シンセシス
- Mixer:BJT、FET、ダイオードを使用した、11種類のトポロジーによるミキサ・シンセシス
- Advanced T/Line:自動不連続部挿入機能を用いた、13種類の伝送ラインのシンセシスおよび集中定数/分布定数回路変換
- PLL:アナログ・ループ・フィルタのフェーズ・ロック・ループ・シンセシスと5種類のセットアップ・ウィザードによる、周波数シンセサイザ、位相/周波数変調器/復調器のデザイン
- Signal Control:包括的なスプリッタ(10種類)、カップラ(10種類)、バラン(5種類)、アッテネータ(2種類)のシンセシス
他のシステム・アーキテクチャ・デザイン/周波数プラニング/シンセシス・ツールと違って、ADS用のGenesys RF Architect & Synthesisエレメントは、これら3つのカテゴリのインテリジェントな生産性向上ツールの最高の機能を備えています。スプレッドシートによる手動での不十分な解析をなくし、下流部門でのコストのかかるリワークを必要とする最適とは言えないデザインの原因となる仮定を単純化することにより、RFシステム/コンポーネントのデザイン・プロジェクトを数週間短縮し、コストやリスクをある程度低減することができます。
RF Architect & Synthesisエレメントの主なGenesys機能ブロック |
機能ブロック |
概要 |
Genesys Core環境 |
Coreのデザイン環境、リニア・シミュレータ、最適化、レイアウト、3次元表示、統計機能。このADSエレメントは、スタンドアロンGenesysバンドルとして実行できます。 |
Genesys Synthesis |
パッシブ/アクティブ・コンポーネント用の11種類のシンセシス・モジュールが含まれます。 |
Genesys System |
システム・アーキテクチャおよび周波数プラニング・シミュレータ。 |