定義

送信スペクトラム・マスクは、全キャリア・パワーに対する、指定されたオフセット周波数バンドに含まれるパワーの測定です。

規格

  • IEEE Std 802.11b-1999 Paragraph 18.4.7.3 Transmit spectrum mask
  • IEEE Std 802.11a-1999 Paragraph 17.3.9.2 Transmit spectrum mask
  • ANSI/IEEE 802.11 Std 802.11 First edition 1999-00-00 Paragraph 15.4.7.4 Transmit spectrum mask
  • FCC Title 47 Code of Federal Regulations Part 15 (47 CFR 15)

測定のヒント

この測定により、複数の無線LAN装置が互いに干渉を及ぼさないようにします。スペクトラム・テストは性能低下を測定する有力な方法の1つです。しかし、パケット・エラー・レートのような直接的な測定ではありません。

Transmit Spectrum Mask Image

この測定には、帯域内と帯域外のスプリアス放射測定が含まれています。送信スペクトラム・マスク測定は、キャリアと指定されたオフセット周波数バンドとの、電力スペクトル密度(PSD)の比として表現できます。無線LANでは、基準パワーとして信号のピークPSDを使用します。オフセットの結果はすべて、全パワーに対するそのオフセットでのピークPSDです。(測定例の値を参考にしてください。) 

IEEE 802.11規格では、送信変調フィルタについて規定していません。しかしスペクトラム・マスクでは、フィルタリングが暗黙のうちに使用されています。またIEEE 802.11規格は、使用する測定ディテクタについて規定していません。しかし経験上、スペクトラムの形状は(アンフレーム信号の場合)、掃引スペクトラム・アナライザでもベクトル・シグナル・アナライザでもほとんど同じです。

IEEE 802.11bが規定するスペクトラム・マスクは、連続信号のものです。トランスミッタを連続出力に設定する問題点として、最終結果がバースト条件における実際の性能を反映しないことがあります。これに対し、他の規格ではフレーム信号の使用が明示的に規定されています。

テスト・ツール

89600シリーズ・ベクトル・シグナル・アナライザはスタンドアローンでも、ESA-E/PSAシリーズ・スペクトラム・アナライザ、または一部のInfiniiumファミリ・オシロスコープとともに使用できます。

ESA/PSAシリーズ・スペクトラム・アナライザは、89600(スペシャル・オプション付き)用ダウンコンバートのフロントエンドとして使用できます。これにより、ベクトル信号解析が50GHzまで可能になります。89600を単体で使用した場合には、6GHzまでのベクトル信号解析をIQ/IF/RF測定で行えます。

89607A WLANテスト・スイート・ソフトウェアでは、IEEE802.11a/b/gのトランスミッタ性能のための測定がすでにプログラムされています。これを使って、89600シリーズ・ベクトル・シグナル・アナライザを自動で制御できます。

PSA/ESAスペクトラム・アナライザには、802.11スペクトル放射マスク(SEM)測定が内蔵されています。

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