最新のレーダ・システムのデザインの特性評価は、動作環境を正確にシミュレートするためにはさまざまなテスト信号が必要なアプリケーションです。最適な信号作成ソリューションを用いれば、長くて複雑な信号シナリオを作成できます。最新の広帯域任意波形発生器（AWG）の中には、この機能を備えているものもあります。

例えば、Keysight M9330A（PXIバージョン）およびN8241A（LXIバージョン）AWGがそうです。これらのAWGは、広い帯域幅と15ビットの分解能を同時に実現します。これらの信号発生器は、通常は1台のレーダ・システムしかテストできないコストのかかる複雑なカスタム・システムの代わりに使用することができます。AWGベースの信号発生ソリューションにより、さまざまな動作シナリオのエミュレーションが容易になり、コストのかかる飛行テストの必要性を低減できます。

複雑なシナリオの作成
M9330AおよびN8241A信号発生器を使用すれば、「ダイナミック・シーケンス設定」とダイレクト・デジタル・シンセシス（DDS）の2つの手法を用いて、長いシナリオを作成できます。ダイナミック・シーケンス設定により、波形再生時に信号セグメントを動的に任意の順に繋ぐことができます。DDSでは、ゆっくり変化するシナリオの特性（搬送波周波数、位相、タイミング）と急に変化する信号変調とを分離することができます。

ダイナミック・シーケンス設定の適用
複雑なシミュレーションには、ダイナミック・シーケンス設定が最適なソリューションです。ダイナミック・シーケンス設定機能を任意信号発生器に実装するには、次の3つの主要要素が必要です：信号サンプルの保存用の波形メモリ、信号セグメント／シーケンスを含む波形再生機能、信号シナリオの作成用の波形再生テーブル。

最初に、AWGのメモリにさまざまな波形を保存または作成します。例えば、レーダ・チャープ、連続波（CW）信号、Barkerコード波形、アンテナ・スキャン・プロファイルです。保存されている波形（メモリ内の10,000未満のサンプル）だけを使用して、複数のセグメント、ループ、シーケンスをチェーン接続して複雑な信号シナリオを作成するように、任意波形発生器をプログラムすることができます。

これは、高速デジタル信号処理（DSP）テクノロジーを用いることによって実現できます。偶然にも、最新のレーダ・システムに採用されているものと同じタイプのDSPが、これらのシステムのテストに使用される信号発生器にも搭載されています。