柔軟なテストベッドによる5G波形の作成/解析 | キーサイト

ホワイトペーパー

はじめに

第4世代携帯電話システム(LTE/LTE-Advanced)の配備が進む中、早くも第5世代(5G)システムの研究が行われています。5Gモバイルネットワークでは、「あらゆるものが、いつでも、どこでも接続されている」というビジョンが示されています。主な特長の1つとして、スモールセルから構成される高度に統合された高密度ネットワークがあり、これにより10Gbps程度のデータレートと1ms以下の往復遅延に対応できます。多くの研究で複数のエアインタフェースが想定され、マイクロ波周波数とミリ波周波数で動作します。MIMOなどの高次空間多重化を利用して通信容量が増大されます。

統合されたネットワークにより、簡単なM2M(マシン・ツー・マシン)デバイスから仮想現実ストリーミングまで、すべてに対応できるようになります。これにより、数十億個のセンサとさまざまなストリーミングサービスを同時にモニター/制御して、Internet of Things(モノのインターネット)の膨大なデータを収集/配信するニーズに対応できるようになります。この環境で、2030年までに無線データトラフィックが5,000倍まで増加すると予測されています。1

このように現実離れした予測から機能を実装するには、最初にプロトタイプ信号を作成/生成/解析する必要があります。5Gの研究は非常に早い段階で開始されましたが、標準化プロセスはまだ始まっていません。使用可能な波形に関する統一的な見解がなく複数の候補波形が検討されているため、物理層波形は定義されていません。例えば、フィルター・バンク・マルチキャリア(FBMC)、一般化周波数分割多重化(GFDM)、ユニバーサル・フィルター・マルチキャリア(UFMC)、フィルター式直交周波数分割多重化(F-OFDM)などが検討されています。

柔軟性が重要になる1つの理由として「カット&トライ」解析を実行して早い段階のコンセプトと5G候補波形を検証する必要性があります。この検証ではさまざまな周波数/変調帯域幅でさまざまな変調方式を扱う可能性があります。開発者が間違った選択をしているリスクがあるため、柔軟性に対するニーズがますます高くなります。特に、5Gが進化する中で有力な候補が現れたときに、すぐに変更できる柔軟性の高い信号作成/信号解析ツールが必要です。

この技術資料では、実証済みの市販ソフトウェア/ハードウェアで構成された柔軟な5Gテストベッドを紹介します。信号開発用の主要なソフトウェアであるSystemVueは、シミュレーション、カット&トライ解析、アルゴリズム開発に使用できます。信号作成用のSignal Studioは早い段階での研究開発テストに使用できます。ハードウェアによるテスト信号の生成はM8190A任意波形発生器(AWG)が担い、これがE8267DPSGベクトル信号発生器の広帯域I/Q変調入力をドライブする信号を供給します。信号復調/解析は、89600VSAソフトウェア、Xシリーズシグナル・アナライザ、広帯域Infiniiumオシロスコープで実行します。