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電源ノイズの真の波形が見えた!電源ノイズのために生まれてきた専用の「電源ノイズアナライザ」

 

※ 出典:2014年10月から日経テクノロジーオンラインに掲載した内容に加筆・修正して転載しています。

 

アジレント・テクノロジーの電子計測事業から誕生したキーサイト・テクノロジーは、電源ノイズを観測する新スタンダードソリューションとして、電源ノイズアナライザを開発した。電源ノイズアナライザは、超低ノイズの10bit 高分解能オシロスコープInfiniium Sシリーズと、電源ノイズの観測に特化した専用のパワーレールプローブ「N7020A」の組み合わせにて、徹底したローノイズ化を追及し、「今まで見えていたように思えたが、実際は見えていなかった」電源ノイズの真の姿を明らかにしてくれるソリューションである。電源電圧の低電圧化を背景に、電源ノイズの正確な把握と抑制が設計上の課題になっており、その切り札ともいえる。

半導体プロセスの微細化やローパワー化に対するニーズの高まりを背景に、デジタル回路の低電圧化が進んでいる。たとえば40nmプロセスノードのFPGAのコア電圧はわずか1.0Vである。いずれ1Vを切る電源電圧も当たり前になるだろう。

電源の低電圧化に伴って電源系のノイズが課題として顕在化してきた。前述のFPGAのコア電圧を例にとると、スペックは1.0V±5%(0.95V~1.05V)と規定されているため、電源電圧をセンター(1.0V)に設定した場合のノイズマージンはわずか±50mVしかない。かつてデジタル回路で主流だった5V±10%(±500mV)に比べると許容範囲はきわめて狭い。

一方で、回路の周囲には電源を乱すさまざまな要因が存在する。たとえば、スイッチング電源の動作に起因するスイッチングノイズやリップルノイズのほか、半導体デバイスの負荷変動に伴うトランジェントノイズ(アンダーシュートやオーバーシュート)、他の回路が発する電磁界ノイズなどが挙げられるだろう。低電圧化が進んでいる現在は、これらのノイズが電源レールにわずかに重畳しただけで、デバイスの電源スペックを満たさなくなる恐れもある。

低電圧化を背景に電源レールのノイズをより正確に観測したいというニーズの高まりを受けて、キーサイト・テクノロジーが開発したのが、決定版ともいえる電源ノイズアナライザである。電源ノイズアナライザは、業界トップの低ノイズオシロのInfiniium Sシリーズに加えて、電源ノイズ観測用に開発した専用のパワーレールプローブの組み合わせソリューションである(図1)。なお、キーサイト・テクノロジーは2014年8月にアジレント・テクノロジーの電子計測事業が独立して誕生した電子計測器の専門会社だ。

 
図1.電源ノイズの観測用に開発されたパワーレールプローブ「N7020A」


「N7020A」はプローブのタイプとしてはアクティブプローブの一種だが、入力段に超ローノイズの最先端アンプ素子を採用するなどして、徹底的なローノイズ化を図ったのが特徴である。これまで見えているようで実は見えていなかった電源ノイズの真の姿がようやく見えるようになったと、回路エンジニアの評価も高いという。

 

◆プローブノイズに埋もれていた従来の観測波形

ところで、電源レールに含まれるノイズの観測は簡単そうに思えるが、実は意外と厄介だ。

まず、観測対象の電圧の問題がある。通常の小信号とは異なり、1V~数VのDCに重畳している数mV~数十mVのAC成分を分解能高く拾わなければならない。

もうひとつがノイズの周波数の問題だ。スイッチングレギュレータのスイッチング周波数は基本的に一定だが、最近はインダクタやコンデンサの小型化を図るために、スイッチング周波数を数MHz以上に設定する事例も増えている。そのため、ノイズの高調波成分やスパイクノイズまで捉えようとすると数十MHzないし数百MHz以上の帯域が必要になる。

一方で、デバイスの負荷変動に起因する電源の揺れは基本的には一定ではない。動作によっては、急激に変動する場合もあれば、緩やかかつ周期的に変動する場合も考えられる。ときには低周波成分までも含まれるだろう。

オシロスコープの入力をDC結合にすれば低い周波数範囲まで捕捉できるが、電圧レンジの制約から微小なノイズを拡大して表示することが難しい。AC結合にすればノイズだけを拾えるが、周波数の低い成分は観測できなくなるおそれがある。

さらに、従来の方法でとくに課題になるのがアクティブプローブが発するノイズである。このノイズは意外と大きく、たとえば高性能なアクティブプローブでもノイズ密度は50nV/√Hz程度の大きさがあるため、仮に100MHz帯域で考えるとノイズ振幅はワーストケースで500μVにも達してしまう。つまり、本来知りたい電源ノイズの細部は、実際にはアンプノイズに埋もれた状態でしか観ることができなかったのである。

アンプを内蔵しないパッシブプローブを使う方法もあるが、電源からは負荷として見えたり(50Ω型)、帯域が十分ではない(ハイインピーダンス型)などの制約があり、こちらも適当とはいえなかった。

 

◆今まで見えなかった電源ノイズが見えた!

キーサイト・テクノロジーの「N7020A」は、「見えているようで実際は見えていなかった」電源ノイズの真の姿を、業界で初めて(同社調べ)明らかにしてくれるプローブだ(図2図3)。


図2.「N7020A」で明らかになった電源ノイズの真の波形(上)と、一般的なアクティブ差動プローブ
   「N2752A」で観測した従来の波形(下)の例


図3.スイッチング電源のハイサイドMOSFETおよびローサイドMOSFETのターンオンと
   ターンオフに起因して発生していると考えられる微小な「ヒゲ」が電源に重畳している様子が
   観測された例


ポイントは前述のように徹底したローノイズ化である。「N7020A」が発するノイズの大きさは、オシロスコープの入力チャネルのノイズを10%ほど増加させるだけにとどまる。実質はほぼゼロといってもいいだろう。これにより、業界トップの低ノイズを実現したInfiniium Sシリーズのノイズフロアを維持できる。

また、「N7020A」側で±24Vのオフセットを与えられるのも特徴だ。電源電圧と同じ電圧をオフセットとして設定すれば、オシロスコープをDC結合で使用してもノイズだけを適切なレンジで表示させることができる。

-3dB帯域は2GHzで、1GHzまでは±2%の平坦性が仕様で保証されているため、広い周波数成分のノイズを正確に拾うことができる。なお、入力インピーダンスはDCでは50kΩ(1kHz以上では50Ω)に設定されているため、電源からは負荷としては見えない。

付属品としては、グラウンドループを最小化する同軸プローブヘッド(N7021A)が提供されるほか(図4)、基板へのハンダ付けを必要としないブラウザプローブの開発が検討されている。


図4.電源の負荷となるデバイスのリードまたは基板パッドに同軸プローブヘッド「N7021A」を
   ハンダ付けして観測する

 

◆電源の設計と評価にイノベーションをもたらす

「電源ノイズアナライザ」は2014年10月に発売以来、携帯基地局、通信機器、サーバーやストレージ機器、複合機、スマートフォンやタブレットなど、電源ノイズが設計上の課題となる機器やシステムの開発および評価を中心に引き合いが増えているという。

高性能プロセッサ、FPGA、高性能グラフィクスコントローラ、高速メモリなどでは、電源電圧の低下が進む一方で、電圧が低くなったぶんだけ電流の引き込みが増えているケースも少なくない。電流の急激な変動は電源の揺れをもたらすが、今までのアクティブプローブでは、平均化され、かつ、プローブノイズに埋もれたノイズ波形しか観測できなかった。

「電源ノイズアナライザ」の登場によって、これまで誰も見たことのなかった正確なノイズ波形が観測できるようになった。ある意味でイノベーションといってもいいだろう。

キャプチャした正確な波形をFFT解析にかけてノイズの周波数を把握し、システム内に存在する類似の周波数のクロックからノイズ源を探し出すなど、効率的なデバッグを進めるような応用も可能である(図5)。


図5.ノイズ波形を正しくキャプチャできるため、InfiniiumシリーズオシロスコープのFFT機能で解析すると、
   電源ノイズを周波数ドメインで把握できる


ノイズやリップルに代表される周期的な外乱およびランダムな外乱、電圧ドリフト、負荷変動応答など、電源系のインテグリティの検証に最適なソリューションといえるだろう。

なお、キーサイト・テクノロジーでは「電源ノイズアナライザ」のデモ/貸し出しを実施中だ。評価を希望する場合は問い合わせてみるといいだろう。また、低ノイズを実現するためには、オシロスコープ「Infiniium Sシリーズ」の業界トップの低ノイズ性能もキーとなっている。(図6)。入力に10ビットのA/Dコンバータを搭載しているため、ノイズや信号を高い電圧分解能でサンプリングできるのが特徴である。


図6.10ビット入力段を備え、ノイズや信号を高い電圧分解能で正確に観測できる
   「Infiniium Sシリーズオシロスコープ」

 

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