- 近年の広帯域システムに対応した、PAモデリングおよびプリディストーション解析のためアルゴリズム
- 4G/5G信号を利用して迅速に広帯域のデュアルバンドRFコンポーネントの評価が可能。その際にコンポーネントベンダ固有のセットアップは不要。
- GUI操作ウィザードによる、容易なセットアップ/抽出/検証
- 最新の広帯域テスト機器(最大250 MHz)やKeysight ADSなどのシミュレータへのリンク
- 専用DPDモデル、抽出IP、テスト・ベクタへの対応、カスタムGUIの作成
W1716 デジタル・プリディストーション(DPD)・ビルダは、4G向けパワー・アンプ/トランシーバICの非線形性やメモリ効果をモデリングし、補正した結果を表示します。DPDビルダには洗練されたCFR(crest-factor reduction)アルゴリズムや、DPDモデル、各種の信号生成や測定器の制御機能が含まれておりウイザード形式の判りやすいUIを提供しています。システム設計者やRFコンポーネント設計者は、W1716を使用して、リンク・レベル性能評価、パーティショニング、コンポーネントの選択をすばやく評価することができます。ベースバンド・アルゴリズム開発者、RFフロントエンド設計者も、並行して回路の実際の実装作業を進められます。
W1716 DPDビルダは、ベースW1461 SystemVueコア環境に対するアドオン・パーソナリティです。
参照: 3GPP LTEでPAを線形化するための実用的なデジタル・プリディストーション技術
W1716 DPDビルダは、次のアプリケーション・ノートで特集しています。5990-6534EN、5990-6742EN、5990-7818JAJP、5990-8883EN
機能追加項目
- デュアルバンドDPD対応。任意のバンドスペーシングでのクロスカップリング係数を設定。
- 4種類のプリディストーション・モデルと抽出方法:メモリ多項式、Volterra、ルックアップ・テーブル(LUT)、ユーザ定義の.m演算アルゴリズム。
- あらゆる変調方式や規格で動作するCFRアルゴリズムを内蔵しています。さらにW-CDMA/LTE/LTE-Aの規格に則ったCFRブロックも提供
- より使いやすく簡素化されたGUIと、これまでの接続方法(スルーとDUT両方)に加えてシングル接続(DUTのみ)をサポート
- SystemVue上でプリディストーション適用後のEVM/ACPを観測することで、PAの入力パワー・レンジ全体にわたっての補正状況や補正係数の次数などの妥当性を確認可能。プリディストーターを実際に実装する前に効果の検証可能。
- カスタム仕様のIPやとテスト信号の利用が可能。
測定ソリューション例をご覧ください。デジタル・プリディストーション(DPD)
長年の研究成果を手元で即座に利用可能
DPDビルダの操作手順はシンプルです。最初に、DPDウィザードが、4Gをはじめとする規格準拠の波形またはユーザ定義波形をKeysight信号発生器にダウンロードして、実際のDUTに信号が印加されます。DUTの出力波形がVSA(89601B)を介してSystemVueに捕捉されます。DPDビルダは、出力波形を歪みのないスルー波形と比較して、非線形メモリ多項式/Volterra級数/ルックアップ・テーブルモデルを抽出します。抽出されたモデルから、DPDビルダはプリディストーターを構成します。
構成されたプリディストーターは、隣接チャネル(ACP)のスペクトラム・リグロースを、代表値で20 dB以上(アンプと信号タイプによる)減少させます。これにより、より高いパワーレベルで動作させることが可能です。また、間接的には、基地局やハンドセットPAのDC-RF効率が最大限まで高められ、運用コストの削減、バッテリ寿命の延長、システム・スループット全体の向上を実現します。
DUTを測定するのと同じモデリング手法を使用して、ADS/GoldenGateで設計したRF回路やXパラメータを利用して、DPD係数を抽出することも可能です。(SystemVueでのXパラメータのサポートについては、W1719 RFシステム・デザイン・キットを参照してください。)
W1716は、4G/移動体分野で開発を行う設計者に有用な環境を提供します。また、初期のプロトタイピング時や、ベンダ間の相違、対応ハードウェアやIPの入手の困難さなど、いろいろな難題に対する解決手法を提供します。結果として、SystemVue DPDビルダを使用することで、システム・レベル性能を早い段階で並行して検証できます。SystemVue DPDビルダはRF/PA、ベースバンド/FPGA、システム、テスト/コンプライアンスの各グループで共有できる中立のプラットフォームである事も重要なポイントです。
図2. DPD結果対入力パワー(または複数のメモリ係数)を検証すれば、アナログPAデザインが適正かどうか簡単に評価できます。こちらは、Keysight GoldenGateで得られたCMOS PAの結果です。
Keysight W1716 DPDモジュールの対象者
- RFデザイン/検証チームは、個々の顧客の条件に合わせたアナログ/RFアンプ性能を定量的に提示できます。Keysightのツールが提供する、テスト・ベクタや複数のCFR/DPDアルゴリズム、広帯域のAWGやデジタイザを利用して、顧客の条件に合わせた仮想システムを構成できます。
- ベースバンド・アルゴリズム開発者は、SystemVue DPDビルダを利用することで、mコード/C++/HDLで作成した自前のIPをインポート可能です。さらに、RF回路やXパラメータ等のRFモデルの取り込みや測定器との接続、規格準拠の信号条件設定などの使い勝手が向上しています。 お客様のデジタル/EDAフローに無線設計の強みを付け加えます。
- システム・アーキテクトは、実現可能なシステム・レベルの性能シナリオを明らかにし、より早く目標を高く置いたソリューションを提案できます。また、ベースバンド・チーム、RFチームの両方とデザイン・ファイルを共有して、検証用のデザイン・フローも構築できます。Keysightがお客様のチームを結び付け、より高いシステム性能を実現し、資産の再利用を最大化します。
- 航空宇宙/防衛アーキテクトにも、無線アーキテクトと同様に利点があります。MilComm/SatComm/レーダ・システムには同じテクノロジーを適用できます。信号インタフェースが仮想化されているので、ほとんとすべての帯域幅に対応できるAWG、信号源、デジタイザを柔軟に選択できます。
図3. SystemVueとKeysightの測定器でDPD試作ループの主要なコンポーネントを置き換えれば、ハードウェアの確定前の早い段階でシステム全体の検証ができます。
構成
SystemVue環境。W1716 DPD builder can be added to any SystemVue environment
標準ライブラリ。W1716 DPDビルダーを使用すれば、独自のテストベクターを定義できます。追加のライブラリは必要ありません。しかし、W1716は統合が簡単なので、多くの場合、適切な規格に準拠したライブラリと組み合わせて使用されます。W1716 DPDビルダーで利用できるSystemVueライブラリの中で、最も一般的なのは次の4種類です。
SystemVueのすべての構成を見るには下のリンク先を参照してください。